発達障がいを持つ子がいらっしゃる家庭のほとんどの親御さんは、「自分が先に死んだらこの子はどうなるのだろう?」という不安をお持ちになっているのではないでしょうか。誰もが人間として生きていく上で、「死」は避けては通れないテーマですが、特に発達障がい等の障がいを持つ子の親御さんは、自分の死後について不安になるところだと思います。そこで、今回のコラムでは、発達障がい児を持つ親御さんの「死」について取り上げたいと思います。

 

 一般の家庭でも同じことがいえ発ますが、まず障がいを持つ方が家族にいらっしゃる場合は、誰が相続人になるのか?ということをきちんと確定することからすべてが始まります。そして、その時に必要になるのが、民法で規定されている法定相続人の知識です。なぜなら、民法によってその順位が規定されているからです。

                           
 相続順位

 例えば、以下のケースでの場合で父が亡くなると、法定相続人は母と長女、長男、発達障がいの次男という3人になります。祖父、祖母の順位は第2位となり、上位(1位)の子どもがいるので、今回のケースでは、相続人になることができません。

 
              相続図

 さらに、民法ではその法定相続人に対し法定相続分という一定割合の財産を相続する権利を与えています。

 法定相続分

 法定相続人や法定相続分は以上のようになるのですが、では、実際にはどのように確認するのか?ということになりますと、実務的には、まず被相続人(死んだ人)の生まれてから死ぬまでの戸籍謄本を取得し法定相続人を確定することになります。この戸籍謄本をたどっていくことにより、親や配偶者、兄弟姉妹、子ども等を調べることができるのです。したがって、相続人に発達障がいを持つ子がいらっしゃる場合は、自分が亡くなった後に遺族が相続人の確定で困らない様に、相続対策の一環として、自分の戸籍謄本をそろえておくことも考えても良いと思います。

 

 ちなみに、この戸籍は本籍地の市区町村で管理されていますので、申請先は本籍地の市区町村になります。現在、住んでいる場所と本籍地が離れている場合は、郵送での申請も可能ですので、まず窓口に問い合わせていただきたいと思います。

 

 そして、この法定相続人と法定相続分で注意しなくてはいけないことは、発達障がいの子が「発達障がいある」という理由で相続人になれない、法定相続分が無い…いうことはならないということです。当然に法律で定められた通り相続人になりますし、法定相続分という被相続人の財産を受け取れる権利もあります。そこは、いわゆる「健常者」と同じということになります。したがって、上記の例でいうと、発達障がいの次男さんも当然、法定相続人ですし、法定相続分の権利を有します。

 

 では、親御さんは自分の財産を自分の希望通り分けることはできないのでしょうか?そんなことはありません。ご存知の方も多いでしょうが、そういう時のために遺言があります。遺言を書くことによって、自分の財産を一定の範囲で希望する相続人に渡すことができます。相続人に発達障がいを持つ子がいらっしゃる親御さんは、残される家族のためにぜひ、この遺言を活用していただきたいと思います。次回は遺言に触れたいと思います。

 

 

2013年02月14日(水)
FP社会保険労務士事務所 柔コンサルティング
代表 平野 厚雄