遺言は、満15歳以上で、かつ意思能力があれば誰でも作成できます。未成年者であっても法定代理人の同意は必要ありません。遺言は、普通方式と特別方式の2種類がありますが、通常使用されるのは普通方式とよばれる以下の3つの方式です。

 遺言の種類

 ※検認とは,相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに,遺言書の形状,加除訂正の状態,日付,署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。

 

 この遺言を作成することにより、自分の財産を特定の相続人に渡すことができます。例えば、親亡き後、発達障がいの子どもの面倒を見てくれる予定の兄弟姉妹に、多めの金銭を残すことも可能です。また、遺言を書いた後、途中で気が変わり、以前書いた遺言の内容と違う内容で財産を残したいというときは取り消すこともできます(その場合、先に作成した遺言と同じ様式である必要はありません)。しかし、遺言を作成するにあたり留意しなければならないことがあります。それは遺留分というものです。遺留分とは、一定の法定相続人に認められている権利で、被相続人の財産に対し、その権利を行使すれば必ず取得できる権利です。

 

 遺言により自分の財産を自分の指定する人に財産を渡すことはできるのですが、遺言により財産の処分を無制限に認めてしまうと、ある特定の法定相続人の生活が保障されなくなってしまう恐れがでてきます。そこで、民法では、相続人の最低限の生活が保障できるように、最小限度の相続割合を定めた遺留分を定めています。また、その遺留分を有する権利者は、配偶者、直系卑属、および直径尊属が認められており、兄弟姉妹にはありません。

 

1.直系尊属のみが相続人の場合は被相続人の財産の1/3

2.それ以外の場合は全体で被相続人の財産の1/2

 

 遺留分はその権利(遺留分減殺請求権)を行使してはじめて有効になるので、財産の分配について、そのままで良いということでしたらそのままということなります。遺留分は家庭裁判所の許可を得ることにより、被相続人の生前に遺留分を放棄することもできます。また、遺留分は相続の開始および、減殺すべき贈与、遺贈があったことを知ったたきから1年以内、あるいは、相続の開始のときから10年経過する前にその権利を行使しないと消滅します。

 

 したがって、遺言によって財産を分ける場合は、それぞれの相続人の遺留分に注意しなくてはなりません。この遺留分を無視した遺言を残した結果、相続人同士が争いになり家族関係が断絶・・・なんていうこともあります。いわゆる「争続(そうぞく)」です。

 

 特に相続人の中に障がいを持つ子がいる場合は、その子以外の兄弟姉妹等の相続人に「誰のために?何のために?なぜその財産を渡したいのか?渡す必要があるのか?」という自分の「想い」をきちんと、自分が死ぬ前に伝えるか、きちんと残しておくことが大切です。死んでからはその「想い」は伝えることはできません。まさに「死人に口なし」です。

 

 子どもより先におとずれる自分の「死」に備えて、親亡き後、地域で発達障がいの子が、障がいを持っていても当たり前に生きていけるように、しっかりと準備をしたいものです。遺言はそのための有効なツールの1つです。ぜひ、積極的に遺言を書いていただきたいと思います。

 

 なお、障がい者自身が成年被後見人になっている場合の本人の遺言のついては、民法973条にて以下のように定められており、全く遺言を作成できなというわけではなく、一時的に「事理を弁識する能力」が回復し、2名以上の医師の立会のもとで作成することができます。

 

民法973条

 

 

 

2013年03月15日(金)
FP社会保険労務士事務所 柔コンサルティング
代表 平野 厚雄