前回は、民間保険に加入する前に、社会保険と勤務先の福利厚生制度等について確認し、足りない部分を民間保険で準備する…という保険に対する考え方の順序について書きました。では、その順序を経て実際に民間保険に加入する際には、どんな点に注意すれば良いのでしょうか?今回は、生命保険に絞ってみたいと思いますが、まず、大前提として知っていただきたいことは、「保険は加入したら、その後もずっと安心!」というわけではないということです。加入後の定期的な見直しが大切になります。

 

 

 なぜなら、環境が変わるからです。例えば…、結婚した。子どもが産まれた。離婚した。子どもが成人した等。長い人生においては、保険を必要とするとき、必要しないときがあり、「これさえ入っておけばずっと安心!」という万人に良い保険など無いのです。その時の状況に合わせた保険を、自ら選び加入することが大切なのです。米澤選手の保険について考える場合、一番直近に起きる大きなライフイベントは「37歳定年(引退)」でしょう。ボクシングでは、頭部への打撃を浴び続けることで脳への障害も懸念されており、日本国内では原則37歳の誕生日でライセンス失効(引退)ということになっております。

 

 

プロボクサー・米澤重隆選手 試合風景1

 したがって、米澤選手は、原則37歳になれば強制的に引退となり、選手生活を続けることはできません。つまり、37歳で選手を引退すれば、「保険の加入」という視点でみれば、各保険会社の加入のハードルは下がるはずです。そのように考えると、米澤選手にとって、まず来年の引退時が保険の検討・見直し時期となるでしょう(Q&Aにもあるように、米澤選手は、「今はボクシングがすべて…」とおっしゃているので、引退までは、ボクシングに専念していただきたいて構わないと思います)。では、米澤選手にとって今後の保険を考える上で大きな別れ道になることは何でしょうか?

 

 

 現状のままであれば、生命保険は加入しなくても大丈夫かと思いますが、今後、「結婚するのか?独身で生きていくのか?」ということが大きな分かれ道になります。やはり、結婚した場合は、配偶者に対する責任もありますし、子供が生まれればさらに責任が大きくなりますので、万が一の時の残されたときの生活を考え、生命保険は必須になります。しかし、このまま独身で生きていく…ということであれば、既に述べたように、生命保険よりも自分自身の「長生きリスク」に備えた、医療保険等や個人年金保険等を検討したほうが良いでしょう。

 

 

 今回のコラムでは、生命保険と社会保険を中心に考察してきましたが、ポイントは以下の3つになります。

 

プロ格闘家は「危険な職業」ということで、民間保険会社の加入には何らかの制限がある可能性が高い。

国の社会保険は職業による加入制限は無い。したがって、民間保険に加入する前に、きちんと社会保険料を払いその保障内容を確認することが大切である(経済的状況により保険料を払うことが困難な場合は、滞納するのではなく市区町村役場等の窓口に相談することが大切)。

既に準備できている「社会保険」と「企業保障(福利厚生)等」を確認し、足りない部分を民間保険で準備する。そして、保険は加入したら終わりではなく加入後の定期的な見直しが必要になることを認識する。

 

 

 プロボクサー・米澤重隆選手 試合風景2

 保険を一つ考えるにも単純な話では無いんですよね。そして、さらに一つ大切なことがあります。 それは、保険会社の営業パーソンの言われるままや、友達・親族との付き合いで保険に加入する事は避けていただきたいということです。私の経験上、そのような方々は、生命保険の基礎的な知識をお持ちではない方が多く、自分にあっている保険なのか?そして、どのような保障額があるのかを認識されておりません。結果的に、そんな保険に長期間月数万円の(無駄な)保険料を払い続けていたりされます。実にもったいない話です。「すべての人に共通な万能な保険は無い!」この原則をしっかりと、頭に入れて、自分のライフプランにあった保険を自ら選び加入していただきたいと思います。そして、それが難しいのでしたら、お金のプロであるファイナンシャル・プランナーに相談していただきたいと思います。

 

 

 

 米澤選手ありがとうございました!そして、次回登場していただく3人目のプロ格闘家は、第2第DEEPウエルター級王者で全日本サンボ選手権(82kg級)王者の長谷川秀彦選手です。

 

 

 

 

2012年03月16日(金)
FP社会保険労務士事務所 柔コンサルティング
代表 平野 厚雄