「免除」と「未納」、どちらも保険料を払わないこと……ということでは同じなのですが、年金記録上「保険料免除期間」と「保険未納期間」のどちらになるかで、万が一の時に、取り返しのつかない事態になってしまう可能性があります。

 

 

 年金は老齢・障害・遺族と3種類の給付があり、老齢基礎年金においては、65歳から年金を受給するためには受給資格期間が25年間(保険料納付済期間・保険料免除期間・合算対象期間の合計)必要になります。そして、この「保険料免除期間」は、その受給資格期間にカウントされます。しかし、保険料免除の申請・届出が面倒である、又は知らなかったということで、黙ってそのまま保険料を滞納してしまうと、その期間は、「保険料未納期間」となり、受給資格期間にカウントされないことになります。さらに障害基礎年金・遺族基礎年金においても、この「保険料免除期間」は受給資格期間にカウントされます。

 

 

 

長谷川秀彦選手・金網

  例えば、20歳からプロ格闘家(第1号被保険者)として活動してるAさんとBさんがいて、Aさんは、きちんと保険料免除の申請をしていましたが、Bさんは、保険料免除の申請をせずに滞納していたとします。そして、30歳時点で障害(障害等級2級)状態になった場合、Aさんは保険料納付要件を満たしますので(その他の受給要件も満たしているとします)、2級障害基礎年金¥786,500(平成24年度)が支給されます。一方、Bさんについては、障害基礎年金の支給はありません。

 

 

 

 

 年金受給総額を比べると、Aさんが仮に65歳まで2級障害基礎年金を35年間(30歳~65歳)受給すると、総受給額は¥27,527,500(¥786,500×35年間)となります。一方、Bさんについて障害基礎年金が支給されることはありませんので、そのまま¥27,527,500が年金受給額の差になります。そして、さらにこの障害基礎年金は非課税で受給できます。この差はずばり、Aさん、Bさんの過去の国民年金の加入記録が「保険料未納期間」だったのか?「保険料免除期間」だったのか? ということです。したがって、プロ格闘家や個人事業主さんのような第1号被保険者の皆様は、まず保険料の「未納」と「免除」の意味の違いについて、しっかりと認識していただきたいと思います。

 

 

 

 

 また、老齢基礎年金の受給金額は、毎月の保険料をしっかりと支払った「保険料納付済期間」によって変わります。つまり、「保険料免除期間」があるとその分年金額が減ってしまいますが、国庫負担分は反映(受給できる)されることも、あまり知られておりません(学生納付特例制度・若年者納付猶予制度は除く)。

 

 

 

 

  そして、保険料免除制度を利用した場合、その時点では、経済的に保険料を支払うことが困難でも、将来、収入が増えて保険料払える状況になった場合、「追納」ということで10年前までの期間については、さかのぼって保険料を支払うことができます。したがって、保険料を「追納」すれば将来の年金額を増やし、年金額を満額へ近づけることもできます(未納であればさかのぼれる期間は2年間になります)。

 

 

 

保険料免除における国庫負担割合・受給資格期間への影響

 

 

 いかかでしたでしょうか?同じ保険料を払わない……ということでも「未納」ではなく「免除」ということになれば、

 

 (1)受給資格期間にカウントされる。

 (2)将来の年金額にも国庫負担分が反映される。

 (3)将来、10年前までの期間ならさかのぼって保険料を払うことができる。

 

 

 という3つのメリットがあります。

 

 

 

 はっきり言って、国民年金第1号被保険者の方が、この保険料の免除制度を利用することができるとしたら、利用して損することはありません。そして、現実的にプロ格闘家は、「第1号被保険者」である人が多いと思います。正しい知識を持っていれば、万が一の時にも安心です。一番避けなければならない事態は、「知らなかった・・・・」という事態です。事が起きてからは遅いのです。もし、経済的に国民年金保険料を払うことが困難であれば、そのまま放置(未納)するのではなく、住んでいる市区町村役所の国民年金課に電話し、保険料免除の申請について問い合わせてください! 最終話へ続く。

 

 

 

 

2012年05月07日(月)
FP社会保険労務士事務所 柔コンサルティング
代表 平野 厚雄