会員さんからの訴訟リスクに備える一般的な保険としては「施設賠償保険」という保険があります。この保険は、ビルやデパート、映画館、事務所、学校などの様々な施設の所有者や管理者が、その施設の欠陥や管理の不備による第三者への法律上の賠償責任を負った場合や、その訴訟の弁護士費用を補償します。しかし…。残念ながら柔術道場の場合は、加入は難しそうです。複数の保険会社に問い合わせてみましたが、「柔術道場」という形態があまり数多くないこと、格闘技はそもそも危険ということ等を理由として、断られてしまいました。

 

 

 そこで、別の手段で・・・ということになりますが、別の手段としては「傷害保険」が考えられます。傷害保険は家庭内、職場内、旅行中等、日常生活において急激かつ偶然な外来の事故によりケガをされたときに保険金が支払われる保険です(会員さんのケガを対象に定額の保険金が支払われることになり、道場主の管理責任は関係ありません)。

 

 

 この傷害保険に、道場主が「契約者」、会員さんが「被保険者」という契約形態で契約します。そして、事故がおきた場合は定額の保険金が支払われるという仕組みです。なお、この傷害保険を利用する場合、通常通りに契約する方法と、会員さんが道場に居る時だけを対象にしたり、年間の道場の延べ入場者数を概算で算出し加入したりする場合等、状況に合わせて契約する方法があります。さて、ここで思いだしていただきたいことは、この傷害保険は、前々回のコラムで登場したスポーツ安全保険に付加されているということです。つまり、スポーツ安全保険に加入しているなら、その上乗せという位置づけで検討することになります。

 

 

 以上、道場の安全管理について考察してきましたが、結局のところ、この訴訟リスクを完全に取り除くことはできないということになります。しかし、事前対応を施すことは可能です。その事前対応の手段の代表的な1つが、このような保険の活用ですが、保険以外にも、色々と考えられます。

 

 

・そもそも危険そうな人を入会させない。

・普段から相談できる弁護士さん等の人脈を作っておく。

・建物やマット等の設備面のチェックを定期的に行う。     etc

 

 「ハインリッヒの法則」という法則をご存知でしょうか?この法則は、労働災害の分野でよく使われる法則で、「1つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、さらにその背景には300の異常が存在する」というものです。道場主として、普段の道場のクラス中に「ヒヤリ」とすることがあると思います。そこに、重大な事故の原因が隠されており、安全管理の重要なヒントが隠されているということです。ぜひ、そんな「ヒヤリ」について意識していただきたいと思います。

 

 ブラジリアン柔術家_澤田真琴選手4

  今コラムでは3回にわたり安全管理について考察してきましたが、最後に、数多くある道場経営における重要なポイントの1つ「集客」について、澤田選手のお話しをご紹介いたします。

 

 澤田選手の道場の集客方法は、原則HPでのみとのことですが(平成24年5月インタビュー時点)、柔術の大会で団体優勝をした時に、新規加入の問い合わせが増えた…というお話しをされました(団体優勝とは出場選手の所属道場毎にポイントを加算集計し、一番高得点を獲得すること)。

 

 

 つまり、大会で結果を出したことが、そのまま道場の広告となったということです。この事実関係を証明することはできませんが、このことから考えられることは、道場の所属選手が活躍し、道場名が露出することが結果的に広告宣伝になる可能性があるということです。駅前でチラシを配っている美容院のように、道場のチラシを作り配るという集客方法もあるのでしょうが、やはり、所属選手が活躍し、道場の名前が露出するということも大事なのかもしれません。

 

 澤田選手、ありがとうございました!

 

 

 

 

2012年09月06日(水)
FP社会保険労務士事務所 柔コンサルティング
代表 平野 厚雄